徳永・松崎・斉藤法律事務所

平成29年株主総会の概況

2017年12月04日更新

恩穗井 達也 弁護士

  1. はじめに
     6月の株主総会シーズンからしばらく経ち,そろそろ来年の総会準備のことが頭に浮かんでいる方もいらっしゃるかと思います。当事務所は,株主総会の招集からリハーサル,当日の運営といった株主総会対応にも力を入れており,本年(平成29年)もこれまでに30社近くの総会に関与させていただいております。
     そこで,今回の会社法の部屋では,平成29年6月総会の全国的な統計状況とともに,当事務所が関与させていただいた福岡の総会における状況をお話させていただこうと思います。なお,全国的な統計の数字につきましては,いずれも「資料版商事法務№400」から引用させていただいております。
  2. 平成29年6月総会の概況
    1. 総会開催日の分散化傾向
      1. 全国的統計
         集中日であった6月29日(木)の開催は29.64%であり,前年から2.59ポイント減少しております。また,第2集中日(28日)開催は17.93%,第3集中日(23日)開催は16.35%であり,これら3日間を合計すると63.92%となりますが,これらの合計でも前年比では5.64ポイント減少となっています。
         コーポレートガバナンスコードにおいて「株主総会関連の日程の適切な設定」が述べられている影響もあり,開催日の分散化傾向が進んでいるものと思われます。
      2. 福岡における状況
         開催日の傾向につきましては,福岡でもほぼ同様といえます。当事務所が関与させていただいた総会をみても,集中日開催(29日)が35%,第2集中日(28日)開催が20%,第3集中日(23日)開催が15%という状況となっております。
    2. 所要時間
      1. 全国的統計
         所要時間の平均は56分となっており,前年の57分と比較して1分短くなっておりますが,ほぼ横ばいと見てよいのではないかと思います。
      2. 福岡における状況
         当事務所が関与させていただいた総会の平均所要時間を計算したところ59分となりました。若干全国平均よりも長くはありますが,概ね同水準といってよいと思います。
    3. 質問者数
      1. 全国的統計
         株主からの質問(発言)があったとする会社は77.4%であり,有効回答1,841社における質問者数は6,656人となっております。
      2. 福岡における状況
         株主からの質問(発言)の状況については,二極化の傾向がある印象です。すなわち,15人以上の株主が質問する会社がある一方で,質問がなかった会社や1名のみであった会社が相当数ありました(質問なしが33%,1名のみが21%)。なお,質問者数を平均すると4.2人となりました。
         また,質問(発言)内容について,これまでは,総会の目的事項とは関係のない質問(例えば,消費者の立場からの質問や意見等)が多い傾向にありましたが,徐々に,経営政策や財務状況に関する具体的な質問が増えてきている印象です。今ではインターネット等による情報収集が容易であり,よく勉強している一般の個人株主から具体的,専門的な質問がされることが十分にあり得ますので,これまで以上に入念な準備が必要となると思います。
    4. 審議方式
      1. 全国的統計
         一括審議方式を採用した会社が69.0%であり,前年比4.2ポイント増加しております。
      2. 福岡における状況
         全国的な状況と同様に一括審議方式を採用する会社は増加しており,当事務所が関与させていただいたうち70%程度が一括審議方式を採用しておりました。
  3. おわりに
     全国的な統計をみると,上記以外の傾向として,招集通知を法定期限(中14日)よりも前に発送する,招集通知を発送する前にウェブサイトに掲載する,招集通知の英訳を準備するなど,コーポレートガバナンスコードを意識した対応をする会社が増加していることが読み取れます。株主からの質問も増加傾向にあり,また質問内容も高度化していることから,これまで以上に「株主との対話」を意識した総会運営の工夫が求められているといえます。
     当事務所ではこれまでに培ってきた実績と経験をもとに,総会運営に関し,法的側面はもちろん実務的観点からのアドバイスをさせていただいておりますので,どうぞよろしくお願い申し上げます。

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