徳永・松崎・斉藤法律事務所

法廷百景
民事調停

2015年04月01日更新

池田 早織 弁護士

  1.  裁判所における民事紛争の代表的な解決方法としては,民事訴訟と民事調停があります。
    民事訴訟は,当事者双方が言い分を主張し,証拠を調べた上で,法律に照らしてどちらの言い分が正しいのか白黒をつけるための制度です。これに対し,民事調停は,当事者が互いに譲り合って,話し合いにより紛争を解決する制度です。
    民事訴訟のイメージはテレビドラマ等でお持ちかと思いますが,民事調停のイメージはいかがでしょうか?
  2.  民事調停は,通常,簡易裁判所で行われます。手続は非公開で行われますので,第三者に知られずに手続を進めることができます。また,解決までに要する期間も比較的短く,申立手数料も訴訟に比べて安くなっています。
    民事調停は,裁判官1名と調停委員2名以上とで構成される調停委員会によって手続が進められます。調停委員は,社会生活上の豊富な知識経験や専門的な知識を持つ一般市民の中から選ばれます。具体的には,原則として40歳以上70歳未満の人で,弁護士,医師,大学教授,公認会計士,不動産鑑定士,建築士などの専門家のほか,地域社会に密着して幅広く活動してきた人など,社会の各分野から選ばれています。
    話し合いによって合意に至り,調停が成立すると,その合意は訴訟の場合の判決と同じ効力を持つことになります。その場合,合意による解決であることから,相手方の任意の履行が期待できるというメリットもあります。他方,一方の当事者が解決案にどうしても納得できなければ,調停は不成立になることもあります。その場合には,もちろん民事訴訟での解決を求めることも可能です。
  3.  それでは,民事調停を利用すべき場合とは,具体的にどういった場合でしょうか?【早期解決が求められる場合】
    民事訴訟では,通常,判決までに6か月から1年ほどかかりますが,民事調停の場合,事案にもよりますが,平均すると2~3ヶ月(期日は2~3回)で終了します。したがって,早期に紛争を解決したい場合は民事調停を利用するのも有効です。
    マンションのリフォームを請け負った事案では,リフォーム後の床傾斜が瑕疵といえるかが問題となりましたが,事案が専門的で,民事訴訟によれば判決までに相当期間を要することが想定されたため,民事調停を申し立てました。期日では,一級建築士の資格をもった調停委員の方が,当事者双方の言い分を聞き,提出された検証資料等を確認した上で,専門的見地からの意見を述べて頂いたので,訴訟になった場合の見通しもある程度つき,申立てから3ヶ月後の4回目の期日で調停成立となりました。

    【できるだけ良好な関係性を維持したい場合】
    親族や隣人,長年の取引先に対して請求を行う場合等,訴訟を提起してまで争うことが躊躇われる場合や,いきなり訴訟を提起するとかえって紛争がこじれてしまう場合があります。このような場合,まずは民事調停を申立て,相手方と話し合うことにより,早期に妥当な解決へとつながることがあります。
    売主が自宅隣の土地建物を売却したところ,買主から土地に瑕疵があると主張され紛争になった事案では,買主と売主は隣人同士であったため,買主が売主に対し損害賠償を求めるのに民事調停を申し立てました。民事調停では,必ずしも法律に縛られることなく,実情に即した解決が可能となりますので,当該事案では,金銭で賠償するのではなく,売主の土地の一部を無償で使用させることで解決となりました。

    民事調停では,当事者双方が納得のいく解決案がでない限り,紛争解決とはなりませんので,当事者が歩み寄り,合意に至る見込みがあることが前提になります。民事調停には,上で述べた他にも,非公開なので秘密が守られるというメリットもありますので,公にはしたくない企業内部の問題などには,民事調停を利用することもご検討ください。

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