徳永・松崎・斉藤法律事務所

法廷百景
訴訟費用の確定手続

2018年04月14日更新

池田 早織 弁護士

  1.  裁判で判決が言い渡されると,訴訟費用についても主文で「訴訟費用は原告の負担とする」「訴訟費用はこれを3分し,その1を原告の負担とし,その余りは被告の負担とする」などとして,負担者と負担割合が定められます。ですが,具体的な金額については定められません。では,訴訟費用を相手方に請求するにはどうすればよいかというと,裁判所に対して「訴訟費用額確定処分の申立て」を行う必要があります。
     しかし,実務上,当該申立てを行う例はほとんどありません。当事務所で約30年にわたり弁護士業務に携わっている弁護士でも,当該申立てを受けたのは1件だけとのことでしたので,如何に少ないかが分かると思います。
     ところが,最近,相手方である原告が一部勝訴した事案で,訴訟費用額確定処分まで申し立てられた事案がありましたので,参考までに,手続の流れや訴訟費用の算定方法等をご紹介したいと思います。
  2.  まず,訴訟費用として認められる主なものとしては,以下が挙げられます。なお,弁護士費用は訴訟費用に含まれません。詳しい費用の種類と算定方法は,民事訴訟費用等に関する法律,同規則に規定されていますので,そちらをご参照ください。
    • 訴え提起手数料(訴状等に貼った印紙代の額)

    書類の送付・送達費用(予納した郵便切手のうち使用した分)

    • 期日への出頭日当(1日につき3950円)

    期日への出頭旅費(距離に応じて金額が定まる。住所地を管轄する裁判所と出頭した裁判所が同一の場合は300円)

    • 書類の作成及び提出費用(1通1500円が基本)

    官庁等からの書類交付費用(登記事項証明書などの取得に要した費用)

     訴訟費用額確定処分の申立ては,申立書と計算書(訴訟費用の種類ごとに具体的な金額を算定)を第一審の裁判所書記官に提出して行います。これに対し,相手方も,申立人の主張する訴訟費用に対する認否書と相手方が負担した訴訟費用の計算書を提出します。これに対し,申立人が相手方の主張する訴訟費用に対する認否書を提出したところで,裁判所書記官が訴訟費用額の決定(訴訟費用額確定処分)を行います。この決定により,訴訟費用についても判決同様,強制執行により回収することが可能となります。

  3.  私の経験した事案では,訴訟費用額確定処分の申立てがなされてから決定がでるまでに2か月余りかかりました。当該申立てにかかる手間と時間を考えると当該申立ての件数が極めて少ない理由が分かる気がしました。

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