徳永・松崎・斉藤法律事務所

法廷百景
裁判手続のIT化

2020年05月19日更新

恩穗井 達也 弁護士

  1.  覚えていらっしゃる方もいるかもしれませんが,事務所報第97号(平成30年4月20日発行)にて,家永弁護士が「「司法の電子化」が検討されています」と記事を書いていました。それからおよそ2年経ち,ようやく裁判手続のIT化に向けた具体的な進展がみられています。
  2.  裁判手続のIT化については,平成29年10月に内閣官房において「裁判手続等のIT化検討会」(有識者会議)が立ち上げられ,平成30年3月に同検討会報告書が出され,3つの「e」(「e提出」=主張・証拠のオンライン提出や手数料の電子納付/「e事件管理」=記録等へのオンラインアクセス/「e法廷」=ウェブ会議の導入や争点整理段階におけるITツールの活用)の実現を目指すとされました。
     そのプロセスとしては,
    【フェーズ1】現行法の下でのウェブ会議・テレビ会議等の運用(e法廷)
    【フェーズ2】新法に基づく弁論・争点整理等の運用(e法廷)
    【フェーズ3】オンラインでの申立ての運用(e提出,e事件管理)
    を順次進めるとされ,まずはフェーズ1の運用について,一部の特定庁にてスタートすることとなりました。その特定庁に福岡が含まれることとなり,令和2年2月から,福岡地裁において,一部の裁判についてウェブ会議等のITツールを活用した運用が始まっています。
  3.  さてこのような状況下,今般,私が担当する事件において福岡地裁から「次の弁論準備手続期日からウェブ会議でやりたいんですけど良いでしょうか。相手方が遠方なので,相手方代理人の事務所と裁判所をウェブで繋ごうと思っています。」と連絡がありました。正直,個人的にはITにさほど詳しくなく,裁判手続のIT化の話にも正直ついていけていなかったのですが,ウェブ会議(e法廷)を経験できる良い機会として,快諾しました。
     裁判所で用いるソフトはマイクロソフト社のTeamsです。このウェブ会議機能を利用し,裁判所⇔代理人事務所間を接続します。実際にやってみた感想としては,ウェブ会議による裁判期日でも特に支障はなく,当事者間のやり取りも基本的にスムーズでした(冒頭の接続確認のときバタバタしましたが,これは慣れの問題でしょう。)。また裁判期日においてはTeamsの資料共有,編集機能を活用し,裁判所が作成した争点整理案やエクセル表を示しながら話を進めることができ,むしろこれまで以上に充実した争点整理ができる可能性も感じました。このようなITの活用によって,1回の審理が充実するとともに,遠方の裁判所であっても毎回出廷せずとも円滑に審理を進めることができるようになれば,時間がかかるといわれる裁判手続の迅速化に資するように思います。
  4.  裁判手続のIT化についてはまだ始まったばかりというところです。進み具合としては社会全体の動きと比べて遅く,フェーズ3までたどり着くのがいつになるのかよく分かりませんが,この流れ自体は変わらないと思います。自分も時代に置いていかれないように,この点も日々情報をアップデートしていきたいと思う次第です。

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